1998年8月7日のオンエア情報です。
先日ネットの音楽系記事で「1990年代のハードロックPVベスト10選」というものを見かけました。
1位はニルヴァーナのSmells Like Teen Spiritだろうな…と思ったらやはりそうで、これはもう鉄板、どこでやっても90'sカテゴリでは上位入りでしょう。
中にはパンクなグリーンデイがあったりしますが、時代的にオルタナロックも入ってるってことなのでしょう。またスパイク・ジョーンズ監督製作で、低予算とは思えないクオリティだったビースティ・ボーイズのサボタージュがあったり、概ね90'sロック定番PV集でした。
これ系のランキングはRolling Stone誌でもやっていて、こちらではパール・ジャムのJeremyやウィーザーのBuddy Holly等も入っています。
今号の主な記事
・英国フェスリポート
・在英邦人バンド座談会
この模様は後にBEAT UKのムック本にも収録されました。
→1998年8月4日付HO HOU(ホ・ホゥ)
今週のヘッドライン
・ヴァーヴがアメリカツアーへ
・ベックのニューアルバムリリース決定
・ジャーヴィス・コッカーがTV司会者に!
先週からのランキングの
↓ はダウン
↑ はアップ
→ は変化なし
N はNew Entry、R はRe-Entryです。
太文字はアーティスト名で、/ の後に曲名が続きます。
基本オンエアそのままの表記ですが、スペルミスや追記が必要そうなときはその都度調整します。
ミュージックビデオはPV(プロモーションビデオの略称)と表記します。
英語テロップはBEAT UKの放送から引用しています。
緑字の部分は旧公式サイトからの引用です。
日本語黒字の説明部分は自分の感想であり、翻訳ではありません…が、時々適当に訳してることもあり、その際は斜体青文字で表記しています。ご了承ください。
BEAT UK August.07.1998 On Air
Voice / Neil Fox
OPENING
Babybird / If You'll Be MineFrontman Stephen Jones received applause at this month's Beat UK live event in London when he told a persistent heckler not to come to any their gigs again!
今月のビートUKのライブ・イベントでフロントマンのステファン・ジョーンズがヤジの飛ばし屋に「もうギグに来ないでくれ!」と言い渡し、拍手喝采を受けた模様。
TOP 20
20 ↓ Peter Andre / Kiss The Girl
19 ↓ 187 Lockdown / Gunman
18 N The Supernaturals / I Wasn't Built To Get Up
This fifth single from The Supernaturals is the first to dent the UK top 20 and is "a salute to laziness"!
初UKトップ20入りを果たしたスーパーナチュラルズの5枚目のシングル。
グラスゴー出身のロックバンド、スーパーナチュラルズの1stアルバム、It Doesn't Matter Anymoreからの5thシングルで、アルバムからは最後のカットになります。
バンドのシングルはBEAT UKのチャートでいくつかTop20入りしていますが、実は英国シングルチャートでは20位入りしたものはなく、この曲も最高48位となっています。
シングル48位の割に売れていた理由は英国でCMソングになっていたからで、その影響からバンドの代表曲の一つにもなっています。
ロックバンドの割にポップな曲調が多いので、翌年にはロビー・ウィリアムズとディヴァイン・コメディとツアーを回っていたそうです。
17 ↓ Billie / Because We Want To
16 ↓ Echobeatz / Mas Que Nada
15 ↓ B*Witched / C'est La Vie
14 ↓ Energy 52 / Cafe Del Mar '98
13 ↓ John Travolta & Olivia Newton-John / You're The One That I Want
12 ↑ Brandy & Monica / The Boy Is Mine
11 N Catatonia / Strange Glue
Recently playing at Milan's premier fashion show for Versace, Cerys said "I go to fashion shows to see what not to wear"!
最近ミラノで行われたベルサーチのプレミアショウでも使用されたそう。ケリス曰く「私がファッションショウに行くのは何を着るべきでないかを見るためよ。」とのこと。
ウェールズのロックバンド、カタトニアの2ndアルバム、International Velvetからの4thシングルです。
英国シングルチャート最高11位となっています。これまでの殺人事件を題材にするなどのセンセーショナル加減はなく落ち着いた曲調ですが、チャートからするとバンドには尖ったコマーシャルさが求められているのかも知れません。
歌詞での攻撃が出過ぎるとバッシングされてメンタル病みそうですが、この曲のカップリング曲では大手レーベル批判をやっていたりと、それなりに意気がっているようです。
特にヴォーカルのケリスはちょっとしたコメントからゴシップ記事に至るまでメディアに度々登場し、英国のロックアイコンとしての存在感が大きくなっていったのでした。
ON STAGE
Idlewild / Everyone Says You're So Fragile
アイドルワイルドのステージです。同じ映像は発見できませんでした。
NEW RELEASES
The Bluetones / Sleazy Bed Track
ギターリストのアダムが彼らの最新ビデオについて「この世はお猿さんでもやっていけるほど簡単なものだって事を皆にしってほしかったんだ。」と語っていたそうだ。
ブルートーンズの98年3月にリリースされた2ndアルバム、Return to the Last Chance Saloonからの3rdシングルです。この曲は英国シングルチャート35位となり、Top20入りを逃してしまいました。
PVではブルートーンズに扮したチンパンジーバンドが出て来ます。テロップでの発言はああは言っていますが、「子供と動物は人気はあるが思い通りにならない」という撮影の常識があるように、お猿さんでPV作るのは、人間の都合としてブルートーンズのメンバー以外が苦労したのではないでしょうか。
あとメディアでは、この曲はクラウデッド・ハウスの91年のシングルFall At Your Feetに似ている、と指摘があったそうです。
ブルートーンズの2ndアルバムからのシングルはもう一枚、4-DayWeekendも98年11月にリリースされます。そちらは通販のみ対応・PV映像付きのシングルとなりましたが、全英シングルチャートのルール「楽曲本体メディア以外の価値あるおまけ付きはチャートに入れない」ということでチャートインしませんでした。
Fun Lovin' Criminals / Love Unlimited
Due to the massive demand for their UK shows last week, FLC have had to extend their stay and add an extra 15 dated to play in October.
先週行われたギグは売り切れゴメンのためチケットを手に入れることの出来なかった人々が沢山いたとか。それらの人々の熱い、熱い要望に応え、10月にさらに15公演行うことが決定。
Puff Daddy feat Jimmy Page / Come With Me
Following the success of Jamiroquai's 'Deeper Underground', 'Come With Me' is the second single to be released from the 'Godzilla' soundtrack.
ジャミロクワイの‘Deeper Underground’に続く映画『ゴジラ』のサウンドトラックからの第2弾シングル。
UK ALBUM CHART
アルバムタイトルの後の(カッコ内)は、放送されたPVです。
20 Space / Tin Planet
19 Sparklehorse / Good Morning Spider
18 Boyzone / Where We Belong (All That I Need)
17 Celine Dion / Let's Talk About Love
16 Five / 5ive
15 Simply Red / Blue
14 Embrace / The Good Will Out
13 Blondie / Atomic - The Very Best Of
12 Robbie Williams / Life Thru A Lens
11 All Saints / All Saints
10 Catatonia / International Velvet
9 Jane McDonald / Jane McDonald
8 Lighthouse Family / Postcards From Heaven
7 Massive Attack / Mezzanine
6 The Corrs / Talk On Corners
5 Natalie Imbruglia / Left Of The Middle
4 The Verve / Urban Hymns
3 Beastie Boys / Hello Nasty
2 Garbage / Version 2.0
1 Eagle-Eye Cherry / Desireless (Save Tonight)
REQUEST
The Chemical Brothers / Setting Sun
96年に初めてケミカル・ブラザーズが英国シングルチャート1位を獲得したセッティング・サンは、オアシスのノエル・ギャラガーによる歌詞とヴォーカルを加えた合作曲です。
この頃ケミカル・ブラザーズはまだ1stアルバムのみの若手ですが、ブリットポップムーブメントが最も盛り上がる中、若手トップのロックスターをゲストヴォーカルに据える程のコネを持っています。
その理由は、イベント「ヘブンリー・サンデー・ソーシャル」を彼らのDJプレイで伝説級にまでしたことで音楽業界での知名度が高かったことと、そのイベントにブリットポップバンドの面々がよく来たことで繋がりができたようです。
元々クラブ系アーティストでインスト曲が多いのですが、ヴォーカルが入ることでキャッチーさが格段に上がり、更に若手一番のロックスター、ノエル・ギャラガーが参加してることで、ケミカル・ブラザーズの人気・知名度が一般層にも大きく知られました。
更に言えばこの曲はビートルズによるサイケデリックが極まったトゥモロー・ネバー・ノウズを意識してるってことで、ロック系メディアからも高い評価を受けたのでした。
思えばオアシスは1996年8月に今や伝説となったネブワース公演をやり遂げ、9月前半に兄弟喧嘩でノエルがアメリカツアーをドタキャン(数日後に戻った)したことが大きく報じられたバンド絶頂期でもあります。
オアシスの話題が尽きない9月末にこのシングルで1位を獲得したのは、そのブームに乗ったことも大きいでしょう。以降ケミカル・ブラザーズの知名度は上がり、2ndアルバムはチャート1位になったのです。
SPECIALIST CHART
UK INDIE ALBUM CHART
1 Jane McDonald / Jane McDonald
2 Space / Tin Planet
3 Stereophonics / Word Gets Around
4 Rialto / Rialto
5 Morcheeba / Big Clam
2 Space / Tin Planet
3 Stereophonics / Word Gets Around
4 Rialto / Rialto
5 Morcheeba / Big Clam
Sparkle / Sparkle (Be Careful)
ONES TO WATCH
Elliott Smith / Angeles
映画『A Good Will Hunting』のサウンドトラックで使用され大ヒットとなったシングル。彼の初期2アルバムがこの度再リリースされることになった。
アメリカのシンガーソングライター、エリオット・スミスの知名度を上げたこの曲は、テロップにあるように、97年のアメリカ映画「グッド・ウィル・ハンティング」で使用され、98年度のアカデミー歌曲賞にノミネートされたものです。(受賞はセリーヌ・ディオンのタイタニックのテーマ)
彼は少年時代から自作曲を作るなど才能があり、特にピアノはかなり上手かったそうです。大学時代に友達に誘われロックバンドを結成し、バンドと並行してアコースティック主体のソロ活動を始めます。
この曲は映画のために書き下ろされたもののひとつで、97年の3rdアルバムEither/Orにも収録されています。
ヒットのおかげでメジャーレーベルに移籍し、4thアルバムXOは98年8月にリリースされます。
なお2000年以降薬に溺れますが、それを克服しアルバム制作中だった2003年に突然亡くなってしまいました。それ以降も楽曲の良さから、アメリカンドラマの挿入歌として時々使われています。
The Beta Band / Los Amigos Del Beta Bandidos
「このバンドの半分は音楽、残りはビデオやアート、そして僕達を夢中にさせるものから成っている。」とメンバーのスティーブ、ジョン、リッチ、ロビンは自分たちを表現していたそうだ。
スコットランドで96年に結成されたザ・ベータ・バンドによる3rdEP、Los Amigos del Beta Bandidosからの楽曲で、今回放送されたPVはその4曲目Needles In My Eyesでした。
PVは19分半という長尺になっていますが、EP全ての曲が入っている意欲的かつお得な構成です。
ザ・ベータ・バンドはこの頃EPの評判も上々だったために、90年代末期のフォーク系インディーの流行を牽引する、またポスト・レディオヘッドとしても大いに期待されていました。
98年9月にはこれまでリリースしたEPをまとめたThe Three E.P.'sがリリースされ、翌年には1stアルバムがリリースされます。
Theaudience / I Know Enough (I Don't Get Enough)
Theaudience release their self titled debut album in the wake of controversy created by songwriter/guitarist Billy Reeves' absense at their last two gigs.
話題を呼んだデビュー・アルバムをリリースしたジオウディエンすだが、ソングライター兼ギターリストのビリー・リーブスが最近行われたギグを2回休んだことでまたまた話題を提供。WORLD GIG GUIDE
EUROPE
Yo La Tengo / King Tut's Wah Wah Hut - Glasgow, UK 22 Aug /
Flux - Edinburgh, UK 23 Aug /
Garage - London, UK 26 Aug
Reading '98 / Little John's Farm - Reading, UK 28 Augst
Page & Plant / Ash / Mansun / Afghan Whigs / Super Furry Animals / Mogwai / Kenickie / Gomez /
Scott 4
Reading '98 / Little John's Farm - Reading, UK 29 Augst
Beastie Boys / The Prodigy / Supergrass / Lee Scratch Perry / Money Mark / Travis / Sleater Kinney / Elliott Smith
Reading '98 / Little John's Farm - Reading, UK 30 Augst
Gabage / New Order / The Bluetones / Shed Seven / Spirituralized / Six By Seven / Deejay Punk-Roc
NORTH AMERICA
Shania Twain / Fairgraund Syracuse - New York, USA 24 Aug /
Blossom Music Center - Cuyahoga Falls, Ohio, USA 25/26 Aug
ASIA
Deftones / On Air East - Tokyo, Japan 2/3 Septこのセットリストのソースは、こちらのインタビュー映像由来と思われます。実際にはもっと曲数が多かったのではないでしょうか。
FEATURE
LAST SUMMER'S HITS
去年の夏はこの曲が!
今回は昨年の夏ヒットチャートを賑わした曲について触れてみよう。懐かしい曲が続々登場!
毎年恒例の、昨年の夏にヒットした楽曲特集です。
ここに挙げられている曲は全て1997年の夏から秋にかけ、全英チャート1位を獲得しました。
Hanson / Mmmbop
Sibling trio Hanson have got to win the award for the most catchy-hummable (and irritating!) chorus of last summer with 'Mmmbop', which went straight on at no.1 at the end of may.
97年5月の終わりに兄弟グループ、ハンソンが送り出した‘Mmmbop’は初登場1位を獲得。そのキャッチーでハーモラスなコーラスで彼らはその後いろいろな賞を受賞することになった。
アメリカのティーンバンド、ハンソン3兄弟による楽曲で、「キラメキ☆MMMBOP(ンー・バップ)」という邦題が付いています。
特に注目されたのは兄弟の早熟さで、こちらが1位になった当時アイク16歳、テイ14歳、ザック11歳にもかかわらず楽器演奏をこなし、声変わり前の可愛らしいヴォーカルもよく合っていました。
英国のみならず世界的ヒットになったポップソングで、元々バラードだったものをダスト・ブラザーズがアップテンポにプロデュースしたそうです。
ちなみに彼らの下にも4人弟妹がいて、98年には末妹が生まれています。
BEAT UKでは97年6月13~27日にかけて3週連続1位でした。
Puff Daddy & Faith Evans / I'll Be Missing You
Puff Daddy & Faith Evans' reworking of 'Every Breath You Take' was the first no.1 of the summer boene out of an untimely death, followed just a few months later by Elton John's tribute to Princess Diana.
パフ・ダディ&ファイス・エヴァンズが1位を獲得した‘Every Breath You Take’のリメイク曲‘I'll Be
Missing You’はビギー・スモールズの早すぎた死に捧げられた。この曲はエルトン・ジョンがダイアナ妃に捧げた‘Candle in The
Wind’に続き、2.3カ月後にリリースされた。
97年3月に何者かの銃撃により亡くなった、ノトーリアスB.I.G.を偲んだ楽曲で、ポリスの楽曲Every Breath You Take(邦題:見つめていたい)を大胆にサンプリングしたものです。
パフ・ダディは楽曲製作能力は高くないそうですが、サンプリングの選曲センスと使い方、自他問わずプロデューサーとして高い能力を持っています。
このサンプル元の曲を作ったスティングは歌詞変更に寛容なアーティストで、更にサンプル使用楽曲へのPVゲスト出演をしたり、つい最近はコンセプトアルバムの一環としてリモート合成デュエットPVに参加しています。→Englishman / African In New York
BEAT UKでは97年7月4~18日、8月8~15日の計5週にかけ1位になりました。
Oasis / D'you Know What I Mean?
Fighting off a more-or-less universal panning for their third album 'Be Here Now', Oasis released 'D'You Know What I Mean?', staying at no.1 in out chart for two weeks.
ビートUKのチャートで2週間連続1位を獲得したオアシスの‘D'You Know What I Mean’。サード・アルバム‘Be Here Now’について言われていた世間の悪評をこの曲で撃退。
名実共にブリットポップのトップバンドとなったオアシス待望の3rdアルバム、ビィ・ヒア・ナウからのリードシングルです。
2ndアルバムは世界的大ヒットとなり、ロックスターとなったオアシス、特にギャラガー兄弟においては様々な功績・ゴシップが飛び交い、3rdアルバムについての噂も色々語られていました。
この曲は長尺で重めな雰囲気になっていて、オアシスの本気度を感じることができます。このリードシングルが1位になったことで、世間へ「次の一手」に不安がないことを示したのです。
こちらのPVはケミカル・ブラザーズやブリットポップバンドのPVを良く手掛けているドム&ニック(ニックはスーパーグラスのダニーの兄)の作で、その中でもたくさんのヘリを使うなどかなりリッチな作品です。
BEAT UKでは97年7月25~8月1日の2週1位となり、パフ・ダディの1位に割って入る形になりました。
Will Smith / Men In Black
The artist-formerly-known-as-Fresh-Prince achieved the highest grossing film of the year with 'Men In Black' and a no.1 single with the title track.
大ヒット映画『Man In Black』のサウンドトラックに使用された同タイトル曲‘Man In Black’でかつてはフレッシュ・プリンスとして知られていたウィル・スミスが1位を獲得。
ウィル・スミスは、DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスというヒップホップユニットのラッパーとしてデビューし、その後俳優業で超売れっ子になった人物です。
90年代に入ってから本格的に俳優業へ進んだ彼は、97年に映画「メン・イン・ブラック」の主題歌を手掛けソロデビューし、映画と共に楽曲でも大成功を収めました。
BEAT UKでは97年8月22日に1位を獲得しました。
Chumbawamba / Tubthumping
リーズのアナーキスト、最もバンドらしくないバンド、チャンバワンバが1位を獲得した‘Tubthumping’は97年夏の清涼歌だったのかも。
チャンバワンバと言えばタブサンピングというくらい一発屋感がありますが、バンド自体は80年代前半から活動し、そこそこのキャリアがあります。
80年代前半辺りの英国はまだパンクロックとアナーキストが結びついたカルチャーの雰囲気が残っていて、チャンバワンバはそういったものに影響を受けたバンドです。社会的メッセージ性の強い曲を多く作りつつも、堅苦しさのない雰囲気を持っています。
この曲も社会的メッセージが薄いながらもきちんと込められており、タブサンピングは単なる酒飲みソングではなく、労働者階級賛歌の意味合いがあります。
BEAT UKでは97年8月29~9月12日の3週にかけて1位を獲得しました。
Elton John / Candle In The Wind '97
Elton achieved last year's biggest seller with 'Candle In The Wind '97' which became not only the most purchased single of 1997, but of any year with a staggering 4,770,000 sales.
97年ナンバーワン・ヒットと言えばこの曲、エルトン・ジョンの‘Candle In The wind’。477万枚売れたこの曲でエルトン・ジョンは世界記録をも塗り替えることに。
英国では97年8月末に起きたダイアナ元妃の事故死をきっかけに、しめやかな雰囲気に包まれました。
一部論評では「ブリットポップのブームが終わったのはこの時の雰囲気も要因の一つ」だとする見解もある程で、英国の音楽業界でもカイリー・ミノーグが新作アルバムのタイトルを急遽変更したり、王室批判や過激なことが言いにくい雰囲気になるなどの影響がありました。
これは元々エルトン・ジョンがマリリン・モンローに捧げた楽曲でしたが、ダイアナ妃が亡くなった追悼でメディアがこの曲をたくさん掛けたため、作詞担当のバーニー・トーピンがダイアナ妃のために歌詞を書き直して葬儀で演奏し、白薔薇ジャケット写真のチャリティシングルとしてリリースしました。
この97年版は正式なPVがなく、BEAT UKでは悲しみに暮れ花を手向ける人々の映像が流れました。
またこの曲は、世界で2番目に売れたシングルとしても知られています。
BEAT UKでは97年9月24~10月24日の5週連続1位となっています。
これらは1位になった楽曲ばかりですが、それ以外でヒットしたものもたくさんあります。
独自にいくつか挙げてみましょう。
(以下は放送されていません)
The Verve / Bitter Sweet Symphony
BEAT UKや全英シングルチャートで最高2位になった、今回紹介した1位群に並ぶ名曲です。
最近、この曲の権利に関する悶着を映像化する話が出ているようです。
ヴァーヴはこの次のシングル、The Drugs Don't Workで1位を獲得しています。
Echo and The Bunnymen / Nothing Lasts Forever
リヴァプールの暴れん坊、エコー&バニーメンの復活シングルも97年夏でした。
Coolio feat. 40 Thevz / C U When U Get there
Gangsta's Paradiseほどではありませんでしたが、こちらもヒットしました。
Backstreet Boys / Everybody (Backstreet's Back)
英国で人気先行していたアメリカのボーイズグループ。マイケル・ジャクソンのスリラーをリスペクトしたであろう豪華なPVです。
他にもメレディス・ブルックス、ガラ、ウルトラ・ナテ等のヒットもありました。
WEBSITE OF THE WEEK
→BUK8月号
→ジャミロクワイ公式サイト(1998年7月現在)
現在も同じアドレスに加え、ドメインを複数使って運営しています。
TOP 10
10 N Lovestation / Teardrops
Vocalist Fayleine Brown Began her singing career with her sex brothers and sisters in her father's ("The Funky Pastor") church choir.
ボーカルのフェイレイン・ブラウンは彼女の6人の兄弟と共に父親の教会の聖歌隊で歌っていたという。それが彼女のシンガーとしてのキャリアの始まりだった。
英国のダンスユニットとして90年代前半から活動するラブステーションは、ミュージシャンのヴィッキー・アスピナルと、プロデューサーのデイヴィッド・モーガンによるグループです。
グループのデビューは92年ですが、ヴィッキーは70年代後半からポストパンクバンドでバイオリニストとしての活動歴があり、それなりの音楽キャリアがあります。ヴォーカルのフェイレインはメンバーではなくヴォーカルとして参加したシンガーソングライターで、ソロ活動歴もあります。
この曲はアメリカの夫婦デュオ、ウーマック&ウーマックの1988年の楽曲のカバーです。原曲はヨーロッパで大きなヒットになったこともあって、何度もカバーされています。93年にはエルトン・ジョンとk.d.ラングによるデュエットカバーがありましたが、今回はUKガラージ的なアレンジになりました。
この曲は英国シングルチャート14位となり、グループ最大のヒット曲になりました。
9 N Aqua / My Oh My
Rene actually used to work on a ship (though not quite like this one!) when he left home at 15 to become a cook's assistant prior to joining Aqua.
レネは15歳で家を飛び出し、アクアに参加するまではコックのアシスタントとして船上で働いていた。
デンマークのユーロダンスグループ、アクアの1stアルバムAquariumからの3rdシングルMy Oh Myが今回英国でリリースされ、全英シングルチャート6位になりました。先のシングル群が軒並み大ヒットとなったため再発となったようですが、こちらは中ヒットに留まっています。
先のシングルTurn Back Timeは落ち着いた楽曲でしたが、今回はいつものポップなアクア節です。
PVはわざわざ大掛かりなセットを作ったそうで、組むのにも2週間かかっているそうです。アルバムやシングルが大ヒットしたこともあって資金が潤沢だったのでしょう。
やろうと思えばCGを依頼できる資金はあるのでしょうが、あえてアナログでチープさを演出するのは個人的に好感が持てます。人力でも船を組んだりを海面に見立てたビニール張るのは大変だと思います。
8 N Charli Baltimore / Money
Biggie's ex Charli is found here venomously reprimanding all who have crossed her path then suggests they all work for her now she's rich.
ビギーの元ガールフレンド、チャーリーはこの曲で彼女が今までに出会ってきた人々のことを毒々しく罵倒しているのだが、と同時に彼女がリッチになったから彼女のために働かないかともほのめかしている。
アメリカ・フィラデルフィア生まれのラッパー、チャーリー・バルティモアのデビューシングルです。
この名前は芸名で、映画「ロング・キス・グッドナイト」の主人公の名前から取っています。
彼女は95年にノトーリアスB.I.G.と出会い、愛人関係にあったことでも知られています。97年にビギーは暗殺されてしまいましたが、今回ようやくソロデビューシングルがリリースされました。
この曲は全英シングルチャートで12位となりましたが、ビギーの元カノという話題性とは裏腹に英国での人気はあまり伸びず、この曲以外のシングルはチャートに入りませんでした。
7 ↓ Ace Of Base / Life Is A Flower
6 ↓ Eagle-Eye Cherry / Save Tonight
5 ↓ Another Level / Freak Me
4 ↓ Pras featuring ODB & MYA / Ghetto Superstar
3 N Will Smith / Just The Two Of Us
Set for release a couple of months ago but held back to coincide with Will's new father status, this is a 'New Man' rap dedicated to his newborn baby.
2、3カ月前にリリースされた曲の再リリース。偶然にも彼は同じ頃父親になったそうだ。このNew Manラップは彼の赤ちゃんに捧げられている。
ウィル・スミスの1stアルバムBig Willie Styleからの4thシングルです。テロップにあるように親子についての楽曲となっています。
この時誕生したのは俳優になったジェイデン・スミスで、後の映画「幸せのちから」で父子共演して話題になり今では音楽活動もしていますが、実はPV撮影時はまだ生まれる直前くらいでした。またPVの冒頭では最初の息子、トレイ・スミスも出て来ます。
この曲は全英シングルチャート2位となり、大きなヒットシングルが続いています。
なおこの曲はエミネムの2ndアルバムに収録されている楽曲、'97 Bonnie & Clydeでネタにされていてます。この頃エミネムはまだ有名ではなかったのでゴシップネタにはなりませんでしたが、有名になった後だったらもっと騒がれた…かもしれません。
2 → Jamiroquai / Deeper Underground
ON STAGE
Jean Michel Jarre / Parlez-Vous Français
この模様は1998年7月14日にフランス・パリのエッフェル塔の下で行われたイベントでのステージで、ジャン・ミッシェル・ジャールが小室哲哉とコラボした時の様子です。
二人は98年ワールドカップ・フランス大会の公式テーマソングを合作していることもあり、その流れを汲んだステージでもあります。
映像の最後にフジテレビの英国法人FIPのロゴがあり、左上にはA&E Mundoという南米方面の放送局のロゴがあることから、FIPが撮影し他の放送局に販売したものがアップされていたようです。
実際のステージはもっと長かったようで、放送で流れた曲はこの映像内にはありませんでした。
NO.1
N Spice Girls / Viva Forever
ジンジャー・スパイスが脱退した今も、最近行われたアメリカツアーでガールズは‘The Lady In A Vamp’、‘Wannabe’を歌うとき彼女の名前を歌っていたそうだ。
スパイス・ガールズの2ndアルバムSpiceworldからの4thシングルで、これがアルバムからの最後のシングルカットとなります。
5月にジンジャーことジェリ・ハリウェルが電撃脱退したこともあって、今後の活動がどうなるか不安視されていました。主に歌唱力の高いジェリの歌のパートをどうするのか、ということがメディアで言われていたそうですが、4人だけでのレコーディングはせず、ジェリのヴォーカルが残るシングルとなっています。
PVにはまだ5人であることが示される、メンバーを模した妖精が描かれています。この曲はジェリが作詞をしたこともあって、彼女への思慕と敬意が込められているのではないでしょうか。
全英シングルチャートでは見事1位となり、変わらぬ期待と人気が感じられます。
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コメント
コメント一覧 (3)
ケミカル・ブラザーズ
トゥモローの曲がドラムンの原型とされているのには少し笑ってしまいます。
エリオット・スミス
デイモンのこの映画はかなり好きで50回は見たと思います。
サントラも持っていました。
なかでもエリオット・スミスの挿入歌がかなり好きで聞いていました。
ハンソン
なんと!ダスト兄弟のお仕事だったとは!
パフ・ダディ
今、本家も聞きに行きましたが名曲でした。笑
チャンバワンバ
笑。相変わらず奇跡の一曲かなと感じます。
クーリオ
この曲も良いですね。笑
「Gangsta’s〜」で例のフック部分をサンプルしたいとワンダー氏に
問い合わせた所「使ってもいいけど売り上げの9割ちょうだい」だったそうです。
バックストリート・ボーイズ
結構良いですよね。
彼らの曲でダントツに好きな曲は「Just Want You To Know」です。
なるほどですね。
この曲わけもわからず持っていました。
再発でそこそこ売れたような。違ったらすみません。
歌がなかなかだと思っていたらカヴァーだったとは。
7年ぶりくらいに聞いたと思いますが結構良かったです。
アクア
わざわざ笑
確かにPVに大枚を積めるのは売れっ子の証でしょうかね。
チャーリー・バルティモア
良い。笑
ウィル・スミス
売れていますね〜。
最近「ワイルド・ワイルド・ウエスト」という映画を久しぶりに
見ましたが結構おもしろかったです。
スパイス・ガールズ
おっと来ましたか。良い曲だと思います。
今回は毎年恒例BEAT UKの昨夏ヒット特集でしたが、調べてみると同様の特集は1999年以降にはなさそうで、最後の振り返り特集のようでした。
サンプリング使用の権利云々は交渉する時期と人次第だと思うのですが、スティービー・ワンダーさんの言い値9割ってのはがめつ…しっかりしてますね。
90年代初頭辺りまでのサンプリング事情は割とゆるゆるだったそうですが、流石に各所で裁判になって、急速に事前許可が当たり前、取れる所からはしっかり取るようになって来ました。
90年代後半では無断でやって全部取られたヴァーヴや、各所に全部分配することになったノーマン・クック等、上手く交渉できなかったっぽい例もあります。
パフ・ダディのサンプリング例はいくつもありますが、まさか本当は作曲できない人だとは思いませんでした。それでもサンプリング駆使して作れるのだからセンスの塊みたいな人なのでしょう。
ハンソンのンー・バップは、ギターバンドっぽくないバブルガムポップな感じがちょこちょこ入っているとは思いましたが、ダスト・ブラザーズのアレンジとは意外ですよね。
チャンバワンバのタブサンピングは名曲ですね!
どこぞのバンドのように「そればかり求められるからもうやりたくない」とはならず、政権批判する際に自らこの曲の替え歌をやるくらいでした。
ラヴステーションのこのカバーは、色々カバーがある中においては秀逸だと個人的には思っています。
スパイス・ガールズの曲は4人になってから初めて出したグループの曲ってことで、結構試されたシングルだったようです。とはいえまだジェリのヴォーカル入りなので、本格的な4人態勢とは言えなかったかもです。